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恩納村立 山田小中学校 ICT機器活用公開授業
12月5日、恩納村立山田小中学校のICT機器活用公開授業に、IT指導員3名、研究所職員3名、総勢6名で参加しました。
全ての教室に 52インチの地デジテレビと82インチの電子黒板、実物投影機、ノートパソコン、教師用iPad mini 、
AppleTV 、DVDプレーヤーが配備され、無線LAN環境も整い、それに加えて4年生の教室には、本日の授業で使用される 学校共有のiPad が児童全員に配られ、iPadと連携可能な電子黒板 も設置されていました。
iPadを使用する4年生の教室では、公開授業スタートの前から、児童が自主的にiPad アプリを使って計算ドリルを黙々と行う姿があり、県内外から参加された方々は、興味深くその様子を見入っていました。iPadは、一人ひとりに持たせるタブレット端末としては大きすぎるのではないかとの懸念がありましたが、実際に使われている様子を見て、不安が払拭されました。机上は整理され、iPad を使用するルールもきちんと指導されているようで、iPad を使う授業が特別ではなく、落ち着いた雰囲気なのが驚きでした。他の教室の児童生徒も、多くの参観者に臆することなく、落ち着いた様子で、公開授業の開始前から、学校全体で授業改善に取り組む姿が垣間見える素晴らしい雰囲気でした。
公開授業では、ICT機器の活用の場面に注目して各教室を巡回して取材しました。確認できた範囲で、活用場面や感じたことを箇条書で列記します。
① 各教室の電子黒板には実物投影機の画像 ・ 動画教材 ・ フラッシュ型教材 ・ デジタル教科書 の提示があり、授業に必要な提示が効果的に行われていた。
② 授業の要所で教師がICT機器を操作する場面があったが、スムーズな操作が行われ、滞る場面は無かった。
③ 教科書を投影する場合でも、デジタル教科書はデジタルコンテンツを利用する場面で使われ、単に教科書を投影して書き込みながら説明する場合は実物投影機が使われていた。
④ iPadは、問題を無線配布・回収し、電子黒板に比較提示し発表するという場面で使われ、時間短縮と児童の発表機会を増やす目的で使われていた。
⑤ 児童のiPad を操作する様子も手馴れていて、操作説明を必要とする児童はいなかった。
⑥ iPad アプリ 『らくらく座席評価』 を使って教師が机間指導しながら児童の活動を記録する姿も見られた。
⑦ ICT機器活用の授業を見て時折感じる 『特別』 な感じがなく、教師・児童生徒共に普段の授業を行っているという空気に驚いた。
⑧ 普通の授業よりも提示が多いにもかかわらず、それに対して授業時間には余裕があったように感じた。
【小学校】
【中学校】
山田小中学校型漢字指導の場面では、くりかえし漢字ドリル に付属する筆順ソフト 『漢字デジドリル』 を電子黒板に投影し、空書き ⇒ 筆順・止め・はね・はらいを確認 ⇒ ドリルに指書き ⇒ なぞり書き ⇒ うつし書き という流れで実践していた。どの学年でも同じ流れで実践されていて、学校全体で計画的に導入されていることが実感できました。
ICT機器に触れる時間と質疑の時間もあり、全ての先生方が使えるICT機器の導入でなければ意味がないこと、各教室にちゃんと実物投影機を置いてプロジェクターに投影することに全ての先生が慣れて、そこからフラッシュ型教材の活用、デジタル教科書、iPad の順番で段階を追った導入が大切だとのお話がありました。ICT機器の導入に取り組んで3年目でiPad について取り組んでいる、まだ試験的な活用で、全ての先生が使いこなせている段階ではないとのお話もありました。
プロジェクター + 実物投影機 ⇒ + フラッシュ型教材 ⇒ + デジタル教科書 ⇒ + iPad の活用
公開授業終了後、講演会にも参加しました。
『学力をしっかりと向上させるICT活用の方法』 講師 : 堀田龍也 氏
講演の内容で印象的だったのは、ICT機器を導入するだけでは学力は向上しない、学校全体での統一した学習規律の確立と板書の構造化、基礎基本の徹底、良質な教材の選定が重要だということ、子どもから見てわかりやすく、教員から見て教えやすいICT機器の活用が日常的に続くことで学力が向上していくというお話でした。
実際、山田小中学校の公開授業を見ていても、ICT機器の活用以上に、児童生徒の学習態度や他の児童生徒の発表を聞く態度が目につき、机上は整理され、先生方も普段の授業に溶け込む形で実物投影機・デジタル教科書・iPad を使われている印象を受けました。使い方に関しても、実物投影機を使って児童生徒の手元にある教材や教科書などを拡大投影して書き込みながら説明したり、単にタイマーを拡大表示したり、デジタル教科書の場合は文字をクローズアップして表示する機能を使って朗読させたり、iPad の場合もプリント配布と回収、発表の流れを短縮する目的で使用され、ICT機器が無かったとしても成立する授業の中に、より理解を深める目的や効率的に授業を進める目的でICT機器が活用されていました。
講演の中でも、マラソンに例えて、海外の招待選手が走るマラソンのようにICT機器に精通した教師が打ち上げ花火のように行う授業ではなく、市民ランナーの走りを目指すべきだとのお話もありました。児童生徒が学習に前向きに取り組む空気の醸成、学校全体で統一したICT機器の活用、児童生徒の机上にあるものを拡大提示し、同じものに書き込み、情報共有を行うことに意味があるとのお話もありました。
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